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庭にて (その1)

日常生活の中で、ふとアトリエ的なアプローチをしているときがあります。

たとえば、庭つくり。
昨年の夏に今のところへ引っ越してきました。小さな猫の額ほどの庭を作れるスペースがありました。さっそくガーデニングや庭つくりの本を眺めてみますと、本当に素敵な庭がたくさん載っています。洋風、和風、作りこんだ感じ、自然な感じ…どれもとても良くて、私の優柔不断さがますます強くなるばかり。

そんな私をみかねて、友人が庭師を紹介してくれました。「目をつぶっても美しく感じる庭をつくるのが夢」という素敵な方です。一度スペースをみていただきましたが、本当に最低限のアウトラインを伝えてくれただけ。
次から次へとアイデアを提供することはなかったので、逆に私にはありがたかったです。なぜなら、自分のテンポでゆっくり、そのスペースを感じながら作っていきたかったからです。

最初の1年は、何もせず、雑草が生えたい放題、伸びたい放題。ご近所の手前、小奇麗にしておくのが社会人として常識的な行動なのでしょうが、私には私なりの理由がありました。

その理由を話す前に、そこにつながる、感謝してもしきれない、大切な出逢いのことを書きたいと思います。

10年位前、とてもお世話になったペンションがあります。信州安曇野にある「シャローム・ヒュッテ」という、野菜料理を楽しんでもらう穀類菜食の小さな宿です。http://www.ultraman.gr.jp/~shalom/shalomgaiyou.htm
娘のアトピーで、キューキューになっていた私には、家族みんなが安心してゆっくり過ごせる、天国のような宿でした。
オーナーの臼井さんは、もと山小屋の支配人です。山小屋でのシンプルな生活をしているような、人と人が助け合う、温かさを感じられます。また自給自足のエコロジーライフをそのまま宿でも実践していました。

コンクリートで固めた街で育ってきた私には、シャロムでの滞在はとても新鮮なことばかり。あるとき、明け方にふと目を覚まして、窓の外を見たら、大きな鹿がすぐそこにいました。大きな優しい瞳に見つめられ、身動きひとつできなくなってしまった私。穏やかに静かにその場を離れていった鹿さん。野生の動物をあんなに間近で見たのは初めてでドキドキしたのを今もありありと思い出せます。

その頃、宿泊客に希望があれば、朝の6時に畑にいって、朝食時にいただく野菜の収穫を手伝うということをしていました。その畑で学んだのが「自然農」という考え方です。雑草は普通<悪者>ですが、自然農では雑草を抜いたりせず、野菜が大きくなるまでは、根っこを切らずに地面すれすれのところを切って、草はそこに寝かしておきます。畑は耕さなくてもフカフカになり、草が肥料になります。そして雑草にまみれて野菜がどんどん大きくなっていきます。その野菜のおいしいこと! そして雑草たちも調和のためにそこに生えてくることを知りました。雑草や虫たちと共生した結果いただけるものを収穫する。人間の都合ばかりを優先し、化学肥料や農薬を使うと、栄養価の低い、ひ弱な野菜たちができてしまうことは、誰でも知っていることです。

私の場合、畑を作るつもりはありませんでしたが、庭に植える樹や、草花が心地よく生きていける空間のために、まずは良い土を、この土地の力で作っていこうと思い、自然農的な庭(つまり雑草だらけ?!)を始めたのでした。
(続く)

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